| 99年度 槍ヶ岳~奥穂高岳縦走 |
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| 作者 石田 | |
| 1999/10/22 Friday 00:00:00 JST | |
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期日:平成11年10月22日~24日 メンバー:L.石田慎治、平一寿
平君のバイトの関係で夜11時部室集合としたが、残業のため結局部室を出たのは0時過ぎだった。彼の車で松本へと高速を飛ばす。今回私はドライバーではないが、オールナイトだと思うと気が重い。 安房トンネルを抜けた頃、平君が「ガソリンが無い!」。こんな夜中スタンドなんてやっていないし、民家さえない。なんとか新穂高まではついて欲しいと祈る。 5時過ぎ。辺りの稜線がシルエットとして浮かび上がった頃、なんとか、辿り着いた。我々は新穂高のターミナルの駐車場に止めたが、林道のゲート周辺に止めた方がベター。5,6台は置ける。なんとか着いたけど、帰りが思いやられる。スタンド近所にないし。 山行前からなんという緊張感か。こんなの初めて。しかもオール!大丈夫か?? (平君…学科の友人。約190cm、約80kg。紳士的で、情熱的なアツイ単独行男。)
計画書を提出し、6時出発。紅葉はいまいち。笠ヶ岳、抜戸岳がよく見える。いきなりグレーアイのイノシシのようなカモシカ2頭と立て続けにばったり約1mと超至近距離で遭遇。これには驚いた。林道途中、穂高平避難小屋へと林道をショートカットし、小屋前で小休止、即歩き出す。林道歩きに飽きた頃、道は登山道となる。上の方はガスっていて槍は望めないが、南岳、北穂、奥穂が見える。所々の鮮やかな紅葉を楽しみつつ、やがて滝谷避難小屋に到着。ここが有名な滝谷かと思うが、あまりよくは望めない。そのまま樹林帯を歩く。山に入って行くという感じがたまらない。 槍平小屋周辺は明るく開けたところ。とても気持ちがよく昼寝がしたい。平君はちょっと疲れ気味。しかもザックがロケット!あとで聞くと夏用シュラフ2つに、ダウンジャケットを持ってきたとか。おまけに行動食はチョコにピーナッツ等しか持ってきていないらしい。打ち合わせでは、カローリーメイトをいつも持ってきているとか、過剰装備はいらないと話したのに。あまりの由々しき事態にしばし困惑。 槍平からは槍は望めず、はやく見たいと気が焦る。大喰沢付近で一本とりラーメンを作る。2人ともポリタンを2本満タンにし、ここから先、飛騨沢沿いに長い長いゴーロを登り始める。ジグザグジグザグ行く。歩きにくい。飛騨乗越、槍岳山荘は見えるが一向に近づかない。槍も見えない。となりの尾根ともなかなか並ばない。平君は遅れ始め、私も辛い。やはり寝ていないということが大きな原因だ。今まで1人の人間とも会わなかったが、ここで2人の単独行おじさんに会う。1人は下山で1人には追いつかれた。暫くあけて、3人飛騨乗越から降りてくるのがわかる。風が強く寒くなってきた。へとへと状態でやっと飛騨乗越につく。ここで間近に迫る槍ヶ岳に感動!まさに天までとどけ、空を裂いている。槍岳山荘までもうひと登り。テン場はちょうど飛騨側からの風をもろに受け寒い。その中でも岩の影になっている場所を発見。緩衝地帯でここに張ることに決定。 さていざ張ろうとすると、平君のテント、3本ポールの吊り下げテントでしかもシェラデザイン。またもやびっくり。うーん、エスバースやダンロップのほうがいいなあ。 晩飯はキムチ鍋。コッヘルをガスにかけていると、不意に睡魔に襲われ、意識が飛びそうになった。こんなの冬山以来だ。あ~疲れている。 飯はなんと“しんめし”。さすがに3000mで沸点が低いのはわかるが、超久々の大失敗。平君はキムチと混ぜ、雑炊にしようといい私も同意する。しかし…食えたもんじゃあない。おまけに残りを朝飯にするつもりだったので、2人とも沈む。結局お持ち帰りにし、行動食、つまみを食う。疲れているのにカロリーがとれず、明日が非常に思いやられる。ウイスキーもあまり飲めず、夕日がきれいだという声にも寒くて外に出る気もしない。8時前には早々に寝る。ああ、むなしい…。
4-5半出っぱの予定だったが、起きると5時半。大変、寝坊だ!朝飯かわりにラーメンにしようとしたが、平君は朝からは食えないという。仕方なく行動食を食い、急いでピストンの支度をして、槍へと向かう。槍は朝日を受け神々しく輝き、天を指している。天までとどけ、くさり、梯子をつたって山頂へ。山頂は我々しかおらず、展望2人占め…といいたいが、北は雲が懸かっていて、薬師岳以北はあまり望めない。常念がピラミタブルでかっこいい。双六岳周辺は気持ちがよさそうだ。笠ヶ岳はほんとに笠だ。穂高連峰はやっぱり、近寄りがたい雰囲気。八ヶ岳は相変わらず。雲がなければ、好展望なのだろう。ゆっくりしたいが、寒いし、今日の行程も考え15分位で戻る。頂上は意外と広い。 寝坊したし、気分的にすぐれないし、時間的に奥穂小屋まできついので、今日の行程は北穂小屋までとする。 南岳までは気持ちのいい稜線歩き。問題なし。南岳からはいよいよ大キレットだ。やせた岩峰が続き、滝谷側は絶壁。平君はザックがでかく、重いし、個人マット外付け。昨日の疲れも考慮して、行けるかどうか心配する。今なら槍平へとエスケープできる。彼も心配そうだが、私が行くというなら行くという。天気は晴で問題ないが、飛騨側からの風が強い。ザックが振られるかもしれない、無理をしない、慎重にゆっくり行くと取り交わす。遺言を言われたときはまいったが、かえって気が引き締まったようだ。岩峰を下りだし、いざ出っぱ。大キレットへのこの下りは、結構急で2箇所の梯子つたい、高度感がある。しかもイヤなガレ場。慎重に行くと南岳の下りは一段落し、やがて稜線の登り下りを繰り返す。岩場で特にイヤらしい感じはしないが、気が抜けない。2748付近で一本ホットする。ちょっとジグザグ行くと長谷川ピーク。くさり場が何カ所有り、ナイフリッジにはビビッタ。場所によってはピンが岩に埋め込んであったりするが、ましな方。ナイフリッジ上で信州側から飛騨側に乗っ越す時が一番緊張した。足場が数cm、こういう所に限って鎖がない。平君は足がでかく苦労している。涙チョチョギレ、♪なみだくんさよならby天までとどけ。 ここを越えた少し先のA沢コル手前で一本、安堵する。ここは岩で風が防げる。私がずっと先頭で歩いていたのだが、平君は、石田君すごいよ、とか、一人じゃ絶対来なかった、石田君が行くのを心配しながら見ていたとかいっていた。私も平君がすごく心配でした。北穂の北面と滝谷の絶壁が圧倒的な迫力で迫っている。穂高は岩の墓場だと実感。あそこを岩登りするとは、脱帽。まだ気が抜けそうにない。 ペンキ印にそってルートを外さないように急な岩場を行くと、飛騨泣き、だ。イヤな岩場を鎖をつかみながらトラバースすると、狭く浮き石の多いガレ場を鎖つたいに登る。また泣きたくなりそうだが、慎重に行けばOK。 北穂まで200mと岩に書かれている。最後の登りだ。平君を元気付け、もう一踏ん張り。小屋のテラスから誰か見ている。平君は結構疲れて、遅れている。 北穂小屋で取り敢えず一本。平君はあまりの緊張感でザックの重さを感じなかったという。ほんと無事に通過してよかった。心からそう思う。彼の精神力に敬服するし、お互いよくがんばった。自分を褒めましょう。 北穂小屋で水を2㍑ほど買う。(1㍑200円。ガソリンより高いが致し方ない。)少し登ると北穂高岳ピーク。山頂は意外と広く、今日歩いた槍~大キレットがよく見える。よく歩いたもんだと、ふと感慨に耽る。そういえば、大キレットでは誰にも会わなかった。 テン場は涸沢と奥穂との分岐から涸沢方面へ5分程下ったところ。ここはちょうど飛騨側からの風が防げてよい。テントは単独行おじさんと我々だけだ。ビールで乾杯し、平君はすぐテントの中に入ったが、私は暫く外でぼーっとした。蝶・常念、大天井、燕、涸沢、奥穂に前穂。いい眺めだ。稜線に上がると、夕日がまたいい。 今日の夕食はレトルトで米も失敗せず、うまい。ただ、平君の米の炊き方には疑問が残る。下の方が焦げている。明日の朝食、このコッヘルで雑炊だよなあ。 酒を飲み、寝る前にお互いにマッサージをした。彼はプロ級の腕前!副業として十分やっていけると思う。サービス料を払ってもいいくらいだ。今までの疲れが全て吹っ飛び、完全にレストアーされた。平君は今日奥穂までいっていたら、緊張感が続かなかったという。月が非常に明るく満天の星空とはいかないが、それでもよく見える。
4時起床。朝飯はコンソメ味の雑炊。いざ食べようとすると、なんとスープが真っ黒。焦げだ!慌てて懐電を消し食べるが、口の中は焦げでいっぱい。それでもなんとか食べる。 タバコを吸い、撤収中、思わず吐き気が…。もうなんなんだよ今回のメシは!(涙) 5:30に出っぱし、南峰をまいた小高いところで御来光を待つ。きた!中アの時と同様に祈る。観音様のようだ。 南峰、ドームを巻き、ヤセた稜線の岩場を慎重に下る。最低コル付近まで飛騨側をトラバース気味に行くが40mザイルと20m位のザイルが張ってあって安心。目の前に涸沢岳が聳えるが、岩壁でどこがルートか遠目ではわかりずらい。間をあけて3人の単独行おじさんと会う。3人目のおじさんは、昨日前穂で70のおじいさんが落ちたという。 涸沢岳の登りはほとんど鎖場。何カ所か梯子、長い鎖がずっと続く。最後は垂直に近いチムニー状の鎖場がある。相変わらずでかいザックの平君は苦戦気味。涸沢岳山頂に出るとまた格別の眺め。北穂の北面と奥穂、大キレット、槍が望める。 早々に後にし、穂高山荘へ。ザックをデポし、奥穂ピストン。山荘横の梯子場をつたい、楽にピークに行ける。山頂からは北アルプス全山が見える。白馬、爺・鹿島槍、薬師、黒部五郎、立山三山の間からは剱がちょこんと頭を出している。そして加賀の国白山。乗鞍、御嶽、木曽駒・空木、八ヶ岳、富士、甲斐駒、鳳凰、北、間の、塩見、悪沢、赤石、聖、光と見慣れた山々が。富士、北岳、木曽駒は雪をかぶっている。そして極めつけは浅間山の左にぼんやりと日光連山(男体山、日光白根)が。ここまで見えるとは今日は実に恵まれている。平君も大満足。山頂は我々の他、3人程。日本第3位の標高からの展望は素晴らしい。今年度無雪期登山最後の山座同定を心ゆくまで堪能する。 山荘に戻ると、片づけの終わった小屋のバイト?がミニ野球をして遊んでいた。さて下山だ。遙かしたまでゴーロゴーロのガレ場。一見道がわからない。歩いて行くと踏みならされたところがわかるが、次第にわからなくなる。石3個程のケルンがあって導くが、如何せん低くて見落とす。低いケルンはペイントした方がよい。道を外す途端にゴロゴロ。正面に笠ヶ岳が聳えるが、いい加減この長い下りにはむかついてくる。もしここを登れと言われても決して登りたくはない。荷継沢を越えるとやっと土の道になり、しばらくいくと、白出沢右岸の岩場の高巻きとなる。ここは沢床から20m位で岩壁につけられた岩切道だ。くたびれたロープや鎖、鉄筋を伝って行く。最後まで、侮れない、山行。 道が右岸から左岸に移るところに橋がある。ここでラーメンを作ろうと言うと、平君は腹は減っているが腹の調子が悪く食べる気がしないという。うーん、ノリが悪い…。 橋を渡ると原生林の苔生した落ち着いたところを歩く。振り返ると奥穂、ジャンダルムが見え、白出大滝、紅葉、青空とのコントラストが美しい。白出小屋で林道に出て、穂高平小屋で休む。穂高平小屋からは槍ヶ岳、南岳、大キレット、北・奥穂と登った山々がよくわかる。ウシが放牧されており、のどかに山行最後を締めくくる。 新穂高ターミナルで下山届を出し、バス停横の無料温泉で山行の疲れを癒す。
この先、家に帰るまでにまたもや一悶着あったのだが、長くなるので割愛する。 兎に角、無事に家に辿り着け、最初から最後まで理不尽な?緊張感に絶えず苛まれつつも、学生生活最後の無雪期登山は、非常に非常に…充実?したものであった。ほんとに、お疲れさまでした。 これから積雪期に突入する。きわどいところは避ける程度の冬山には行きたいが、どうかハマりませんようにと思う反面、少し期待してしまうのは一体なぜだろうか。
平成11年10月28日 文 責:石田 慎治 |
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| 最終更新日 ( 2007/10/31 Wednesday 23:29:15 JST ) |
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